東大の秋入学移行に反対する東大教員有志の会

賛同していただける方よろしくお願いします。

Archive for the ‘趣旨’ Category

このページの趣旨

leave a comment »

東大の秋入学全面移行に反対する東大教員は数多くいますが、
東大の発表やマスコミの報道では今のところ取り上げられていません。

東大を秋入学化することで、学生は事実上4年半から5年の学生生活を強いられ、
いわば強制的に浪人させられる形になります。
入試は従来通り2月に行われます。
合格から入学までの半年間の「猶予」(gap term)
を海外留学などに計画的に使うためには、
非常な自信(合格発表がある3月より、前に計画をたてる)と多額の負担
を学生とその扶養者に強います。また、この時期の半年間のブランクが、
その後の大学教育に悪影響となる恐れがあります。

今まで、留学生を受け入れるなどの国際交流をした経験から、
「秋入学にしたら留学生が日本にたくさん来て活性化する」というのは
実現されないと考えます。経済界の期待するようにもならないと思われます。

東大の秋入学全面移行は、2012年1月20日に東大総長より報道発表されました。
正確には「東大内部の、総長が選んだメンバーからなる懇談会から、
中間まとめとして、秋入学全面移行が提言された」という状態で、
我々一般教員の意見は聞かない段階で報道発表されています。

マスコミや各大学学長・政府などが、あたかも
「東大は秋入学で内部で意見がまとまっている」ように振る舞い、
十分な検討もなく、なしくずしに秋入学化を進めています。
我々は東大の一端を担うものとして、ここに反対を述べます。

http://www.u-tokyo.ac.jp/gen02/pdf/20120120interim.report.pdf
に、懇談会の提言本体があります。この10ページをごらんください。
メリットとデメリットの表がありますが、
「空想上のメリットと、現実のデメリット」
と思えます。

[2012年3月8日追記]
平成24年3月2日付で出された「東大総長から国家戦略担当大臣あての依頼文」
(2ページ)が、東大のホームページで公開されています。
http://www.u-tokyo.ac.jp/gen02/pdf/20120302gaiyo.pdf
東大教員にとっても、他大学の方にとっても、重大な内容を含んでいます。
是非、ご一読ください。

[2012年4月6日追記]
学内で反対意見が挙がっていることが報道されました。
中国新聞
産経新聞 (livedoor)

・追記
学内からの「反対意見」が東京大学教養学部のホームページにおいて公開されました。
(正確に言えば、学部1、2年生の教育を主に担当する教養学部の、秋入学についての
検討委員会からの意見書であり、秋入学に直接反対するものではありませんが、
秋入学の抱える本質的な問題の多くを明らかにしたものです)

http://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/fallenrollment20120412.html
http://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/fallenrollment20120412.pdf

15、16ページに要約があります。
ごく一部抜粋します。
「以上のように、教育の国際化を構想する上では秋季入学を前提条件とする必然性はないが、
現今の学内外の議論動向に鑑みると、本委員会は秋季入学への移行を敢えて想定した上で、
その問題点や可能性を検討することにも一定の意義があると考える。ただし、安易にギャッ
プタームを導入すると、我が国の高等教育の水準に深刻な打撃となることを、本委員会は
同時に憂慮するものでもある」

[2012年7月24日追記]
朝日新聞デジタルに「全面秋入学、大学及び腰 「実現性ある」14%」の見出しで記事が出ました。

[2012年9月29日追記]
ベネッセ教育情報サイトに大学の「秋季入学」、あなたはどう思いますか?の見出しで保護者へのアンケートの結果が出ています。保護者の方々は現状では「よく分からない」が多数で、続いて「反対」と考えているといってよいと思います。

[2012年10月04日追記]
読売新聞に「東大より欧米大」秋入学の海外学生、3割辞退の見出しで記事が出ています。
「東京大学で今月から始まる、初の学部レベルの海外学生向け秋入学コースで、合格者の3割が入学を辞退していたことがわかった」との内容です。

[2012年10月28日追記]
「わずか1年半後の2014年4月に、問題点あふれる「新学事暦」導入へ
(学生がかわいそう)」

読売新聞など複数の報道機関から、東大が九月入学を前提に、暫定的な新学事歴を
検討していることが報道されました。

現在の東大の学事暦では、各学年に2つの学期が設けられ、四年間で8学期を学ぶ
ようになっています。各学期にはそれぞれおおむね4か月の授業期間が設けられています。

第一学年には4月から7月いっぱいの(おおむね8,9月を夏休みとして4か月からなる)第一学期、
10月から始まり2月頭に終わる(おおむね4か月からなる)第二学期があります。
第二学年には4月から始まる第三学期、10月から始まる第四学期があり、
第三学年は第五学期、第六学期からなり、
第四学年の第七学期、第八学期が最終学年となります。

今回東大が導入しようとしている新学事暦でも、4年間で8つの学期が設けられています。
4月入学3月卒業を守りながら、新学事暦では一学期は9月から始まります。
そこにあるトリックは、「実質的な教育期間を3年半に短縮する」という考えです。
入学してまず4,5月に「0学期」を実施し、6,7,8月の3か月を丸々夏休みにとります。
一年生の1学期は、こうして9月からはじまり12月に終わります。
一年生の2学期は1月から始まり、(他大学をはじめとする社会の暦の区切りである
3月、4月をまたいで)5月に終わります。非常に複雑ですが、
新学事暦のイメージ図をごらんいただけるとわかりやすいかと思います。
二年生の3学期も9月から12月、4学期は1月から5月です。
三年生の5学期、6学期も同様です。
当然ながら、四年生には一年分が用意できません。0学期の2か月ぶん短く、
最終学期である8学期は1,2,3月の3か月しか用意されません。

新学事暦には数多くの深刻な問題点が指摘されています。

まず、この8学期ですが、卒業生が就職する場合、3月はすでに就職先の方に
ウェイトが移っています。実質的な授業や卒業研究指導を行うことは困難です。
また、2月3月には教員、職員の側が入試関連や卒業関連の仕事に追われて
います。同じ教員、職員が大学院の修士修了、博士修了にたずさわっているため、
2月にも十分な教育を行うことが困難です。
1月は冬休みにかかっています。こうなると、8学期は実質上1か月に満たない
学期となり、「無いも同然」となります。
同様の問題が、「社会における年度の切れ目である3月4月を含んだ偶数学期」
すべてにあります。

では、8学期を切り崩して作られた0学期、すなわち新入生の4,5月には
なにが教えられるかというと、おどろくべきことに「何も決まっていないので、
これから考えるように」という命令が総長から教員に出されています。
選択して4月から8月に海外に遊びに行った人にも、不利にならないように
内容を考えよ、という命令だけをうけています。

これ以外にも深刻な問題点がたくさんあります。この新学事暦は、
なし崩し的にわずか一年半後の2014年4月から施行するというのが
総長の意見です。2014年4月からの3年間は、東大に旧学事暦に従う学生
と新学事暦に従う学生が混在します。教職員側から見ると、2種類の学事暦が
同時に存在します。旧学事暦の学生は8,9月が夏休み、新学事暦の学生は
6,7,8月が夏休みですから、教職員側からは夏休みは共通部分の8月しか存在しなく
なります。研究のための時間が取れなくなるだけでなく教育現場にも大きな混乱が
予想されます。

現在の大学の教職員は、ため込んだ雑用を夏休み中にこなして
ようやく本来の業務をかろうじて行っていると言わざるをえないのが実情です。
雑用と講義・研究指導などを同時にこなすことになり、結局は深刻なしわ寄せが
学生に行かざる得ません。この学事暦の混在する3年間に業務は破たんする可能性が
高いと思われます。

東大総長はマスコミの取材に対しては「未だ検討中で決定事項ではない」としていますが、
東大教員に対しては「これは決まったものとして、あらゆる問題点とそれに対する解決策を
提示せよ」という、既成事実化を行っています。

なぜこのような無理のある新学事暦が実行されようとしているのか。おおむね
次のように推測されます。
まず、現在の社会システムおよび法律上、秋入学秋卒業は困難であることが総長側にもわかりました。
そのため、社会システムと法律を変えてから、秋入学秋卒業に移行しなくてはなりません。
しかし、社会システムと法律は容易には変わらないため、
「実質的に東大が秋学期を先に導入してしまう」ことにより、社会システムと法律を変えてしまおうという
考えと思われます。もっとも被害をうけるのは、現在在籍する人を含めた学生たちです。

なお、これに関する東大の発表はこちらです。

[2012年12月1日追記]
毎日jpに京都大:秋入学を見送りへ 松本学長「入試改革が先」の見出しで記事が出ています。

[2013年8月10日追記]
京都コンピュータ学院・京都情報大学院大学の長谷川 亘氏よりお知らせをいただきました。
秋入学に関する氏のご意見がこちらにあります。
長文ですが、歴史的認識を踏まえた確かなご意見と考えます。

[賛同者リストはこちらです。]

Written by not9gatu

2012/01/31 at 12:35 pm

カテゴリー: お知らせ, 趣旨